著:岡達英茉
イラスト:春野薫久
時代を遡り200年前のレシュタット家の先祖ファナとなって、貧乏な運命を変えようとする没落令嬢アリーラ。
アリーラは騎士団長のジュストと王立舞踏ホールで踊ってから数日間、その余韻で気分がずっと高揚していた。
目を閉じると……仮面を飾る色とりどりのクリスタルや、楽しげな女達の笑い声、軽やかな会話など、瞼の裏にはあの夜に見た眩いばかりの光景が生き生きと蘇る。それに世界で一番尊い女性にでもするように、丁寧に差し出される手……。
貧乏ドン底生活でいわゆる「遊び」を知らないアリーラにとって、仮面舞踏会はとても新鮮で気持ちを上げっぱなしにするものだった。
アリーラが次の仮面舞踏会へと行くと、約束もしていないのにジュストと会うことができた。
この舞踏会をきっかけにふたりの仲が深まっていき、アリーラはジュストに恋をしてしまうのだった。
――大貴族レシュタット家は、ファナが王太子との婚約を一方的に蹴ったことをきっかけに没落する。絶対にそんなことはできない。
このままジュストと会っていては、何のためにアリーラは時代を超えてきたのかわからなくなってしまう。
貧困にあえぐ未来のレシュタット家を救うために……。
「もう、ジュストには会わない。忘れなくちゃ」
悪女のレッテルを貼られたひとりの公爵令嬢がたどった運命と、歴史に埋もれた一族の真実を解き明かす、愛の物語・第2巻。